メンデルの法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)とは?

進化論・遺伝学・利己的遺伝子論の基礎

遺伝子の基礎を作ったメンデルの法則

 

メンデルの法則とは?

 
遺伝に関することを最初に習うのは、おそらく中学校で出会う「メンデルの法則」ではないだろうか?
 
メンデルの法則とは、遺伝の仕組みを解き明かすきっかけとなった法則で、「優性の法則(優劣の法則)」「分離の法則」「独立の法則」の 3つからなっている。
 
 
メンデルの法則は 1865年に発表されたものだが、その時代には品種改良などに関わる現象としてすでに子供は親からその特徴を引き継ぐと言う仕組みは当時から体験的に知られていたが、それを実験によって明確な法則として解き明かしたのがメンデルだった。
 
メンデルは「法則」と言う名称は用いていないものの、メンデルの考えていた要素が後の遺伝子と同じものであることが確認されている。
メンデルの法則を理解することが遺伝の仕組みを理解する助けとなるだろう。
 
 


 

メンデルの法則

 
グレゴール・ヨハン・メンデルが 1865年に発表した「優性の法則(優劣の法則)」「分離の法則」「独立の法則」の 3つからなっており、遺伝子による遺伝の仕組みを説明した法則である。
 
メンデルが仮説として立てた物質こそ遺伝子であったが、「遺伝子」と命名したのは、ウィリアム・ベイトソンであった。
 
 
メンデルは修道院の庭で、明らかに対照的な形質(特徴)を持ったエンドウを育てる実験を行った。
1対の対照的な形質を「対立形質」という。
 

  • 黄色の種子と緑色の種子
  • 丸い種子とシワのある種子
  • 黄色のさやと緑色のさや
  • さやが膨らんでいるか平たいか
  • 背丈が高いか低いか
  • 花の色が紫色か白色か
  • 花が茎の先端に付くか茎全体に付くか

 
その結果、遺伝子には優性のものと劣性のものがあり形質(特徴)として現れるのは優性のものであることが分かった。これを優位性の法則(優劣の法則)という。
 
そして、1世代目では発現しなかった形質(特徴)もその遺伝子は消えてなくなったのではなく、優勢のもがない場合には世代を越えて発現することが分かった。これを分離の法則という。
 
また、背が高くなる高くならない、種子にシワがあるない、種子が黄色と緑色などそれぞれの形質は、独立した遺伝情報として持っており、お互いに影響しあわないことが分かった。これを独立の法則という。
 
 

優性の法則(優劣の法則)

 
最初に、「黄色の種子」と「緑色の種子」のエンドウを交配する実験を行った。
その結果、雑種第一代では全て「黄色の種子」になった。
 
メンデルの法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)_02
 
形質(特徴)には、雑種交配した際にその形質(特徴)が「現れるもの(優性)」と「現れないもの(劣性)」とがあり、雑種第一代では優性の形質のみが現れ、劣性の形質が現れない現象を「優性の法則(優劣の法則)」という。
 
 

分離の法則

 
雑種第一代同士を交配すると、雑種第二代では「黄色の種子」と「緑色の種子」が現れた。
 
メンデルの法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)_03
 
このように雑種第一代では現れなかった劣性の形質が雑種第二代で分離して現れる現象を「分離の法則」という。
 
また、形質が現れる確率は、黄色:緑色 = 3:1となる。
これは、遺伝情報が(黄・黄):(黄・緑):(緑・緑) = 1:2:1 になるが、優性の法則より(黄・緑)の遺伝情報を持つ種子は黄色になるためである。
 
 

独立の法則

 
優性の法則(優劣の法則)、分離の法則は、優性と劣性の 1つの対立形質についての法則だが、2つ以上の異なった対立形質についての法則が独立の法則だ。
 
メンデルの法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)_04
 
上記の例では、「黄色の種子」と「緑色の種子」、「丸い種子」と「しわの種子」という異なる 2つの対立形質を持つ種子の交配を行っている。
雑種第一代では全て「黄色・丸い種子」ができあがる。
ところが、雑種第二代では、それぞれの遺伝子の組み合わせによって形質が現れてくる。
 
現れる形質 4種類の比率は
 「黄・丸」:「黄・しわ」:「緑・丸」:「緑:しわ」=9:3:3:1
となる。
 
 


 

メンデルの実験が成功した秘訣

 
メンデル以前にも同様な交配実験を行ったものはいたが、明瞭な結果を得ることが出来なかった。
原因は、実験に使った素材が最初から雑種であったためだった。
 
メンデルは、実験を始める前にそれぞれの形質を持つ純系を得るための準備を行い、その純系を使って実験を行ったことで明確な結果を得ることが出来た要因の一つとなった。
 
 

メンデルの法則に関連する情報

 

グレゴール・ヨハン・メンデル

Gregor Johann Mendel。1822年07月20日~1884年01月06日。オーストリ帝国(現在のチェコ)。
 

ウィリアム・ベイトソン

William Bateson。1861年08月08日~1926年02月08日。イギリス。
 

形質(けいしつ)

生物のもつ性質や特徴のこと。遺伝によって子孫に伝えられる形質を特に遺伝形質と呼ぶが、単に形質と言えば遺伝形質のことを指すことが多い。たとえば髪の色は形質であり、遺伝形質である。また髪の色そのもののこと(黒や白や茶色など)を形質状態と言う。
 「ウィキペディアより https://ja.wikipedia.org/wiki/形質
 

コメント

  1. 松本俊吉 より:

    素晴らしくわかりやすい絵で授業にも(クレジットを付けて)拝借させていただいているのですが、唯一残念なのは、黄色と緑色の優性/劣性関係が逆になっていることです。

    • 柴戸康 より:

      松本俊吉 さん、コメントありがとうございます。
      エンドウ豆は「黄色」が「優性」で、「緑色」が「劣性」であることを認識しておりませんでした。
      記事、および、画像の修正は近いうちに対応しよう思いますが、ひとまずはお礼まで。
      ご指摘、大変ありがとうございます。

    • 柴戸康 より:

      松本俊吉 さん、対応が大変遅くなりまして申し訳ありません。
      ご指摘いただいておりましたエンド豆の「緑色」と「黄色」の表記の変更、および、画像の差し替えをさせていただきました。
      今後ともよろしくお願いいたします。

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