恋する遺伝子

ヒトはなぜ恋をするのか その秘密を明らかに

ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種

      2017/03/29


ホモ属(ヒト属)は多様な種が存在した

 

ヒトの進化のなぞ

 
ヒトはサルから分岐しどのように進化してきたのか?
ヒトはアフリカで誕生し、いつごろ世界に広がっていったのか?
 
 

ヒトの進化の研究の変遷

 
ヒトの進化について、1990年代より前に学校で習った方々はこう教わったのではないだろうか?
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_02
 
ヒトの祖先は、アウストラロピテクス(アファール猿人)。
アウストラロピテクスがアフリカで誕生し、そこから世界中に広がっていった。
その過程で、北京原人、ジャワ原人、ネアンデルタール人、クロマニョン人と進化していき、現在のヒト、ホモ・サピエンス・サピエンスになった、と。
 
 
しかし、1990年代以降の研究と化石の発掘で、この考え方が全く間違っていた可能性が明らかになってきた。
 

  • ホモ属(ヒト属)には多くの種がいた
  • ホモ属の多くの種は独自に進化し世界中にいた

と言うことが分かってきたのだ。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_03
 
上記の図は正確ではないが、現世人類であるホモ・サピエンス・サピエンスに至る間に多くのホモ属の種が生まれ、多様な種がいたことが分かってきた。
ヒトの祖先も同じ時代に同じ地域に複数の近縁種と生活していたであろう痕跡も確認されてきている。
 
 


 

現生人類・ヒトは数万年前までアフリカにいた

 
下記がヒトの進化の樹状図である。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_04
  「『サイエンスウィンドウ』2014年 春号(4-6月)」より
  http://sciencewindow.jst.go.jp/html/sw54/sp-006
 
この樹状図のように、猿人、原人、旧人、新人と進化をしてきたのだが、世界各地で発見されている北京原人、ジャワ原人、ネアンデルタール人などのホモ属(ヒト属)の種は、現世人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)にはつながっていないことが明らかになってきている。
 
 

200万年前にアフリカを離れる種が現れた

 
ヒトは、700万年くらい前にアフリカでチンパンジー・ボノボの共通の祖先から分かれ、独自の進化を始めたとされる。
ヒトとして進化する道を歩み始めたきっかけはよく分かっていないが、自然環境の変化によりそれまでの樹上での生活が困難になり、生活環境を変えざるを得なかったとされている。
 
 
長い間アフリカの一部の地域で進化をしてきたが、200万年ほど前にアフリカの地を離れる種も現れたと見られている。
進化の中でホモ属も多様な種が共存しており、その一部の種が新しい大地を目指して旅立ったと見られているのだ。
 
それも一つの時期や一つの種だけが新しい大地を目指したわけではない。
 
上記の樹状図にあるように、猿人、原人、旧人...それぞれの年代において多様な種が生まれ、アフリカから旅立ち、世界各地に広がっていった。
そうやって世界中に広がっていった種が北京原人やジャワ原人、ネアンデルタール人などとして発見されているのだ。
 
しかし、彼らは現世人類の直系の祖先ではない。
幾度となく世界中に旅立っていったが、彼らはいずれも絶滅してしまったのだ。
 
 

6万年ほど前にアフリカを離れ世界に旅立っていった

 
ヒトの祖先は、長い間アフリカに留まり続けた。
アフリカの限られた場所に生息し、少数の種として長い間進化を続け、ホモ・サピエンス・サピエンスとなった。
 
なぜアフリカを離れ新大陸に向けて旅を始めたのかは分かっていないが、6、7万年ほど前にアフリカから離れ、世界に向かって旅を始めた。
それが「グレートジャーニー」と呼ばれるものだが、かつて考えられていたよりずっと最近の出来事で、ヒトがアフリカを離れたのはわずか 6、7万年ほどだったと考えられるようになってきた。
 
 
それまではアフリカの一部にいたの少数の種でしかなく、世界に広がっていったのもわずか数万年ほどの間に違いでしかないために、種としての違いはほぼない。
だからこそ、世界各地に広がりそれぞれに適した生活を送っていても、ヒト同士でありヒトとして子供を宿すことが出来るのだ。
 
また、日本に縄文人と呼ばれる日本人の祖先がやってきたのは 1万6000年ほど前と考えられる。それを考えるとヒトの祖先がアフリカを旅立った 6万年前というのはまさについ最近の出来事だ。
 
 

ヒト以外の近縁種はどこに行ったのか?

 
我々ホモ・サピエンス・サピエンス以外のホモ属(ヒト属)の種はどこに行ったのか?
 
先に示した樹状図にもあるように、我々の祖先が数万年前にアフリカを離れて世界各地に移動を始めた頃には、遠くヒトと分かれた原人や旧人と呼ばれる近縁種と共存していた可能性があることが分かってきた。
 
世界各地でホモ属(ヒト属)の化石の発掘や住居などの生活の痕跡などが発見されてきたことなどからも、我々ヒトと関わりがあった可能性が指摘されている。
 
しかし、我々ホモ・サピエンス・サピエンスは、それら原人や旧人から進化した近縁種より遙かに進化した狩猟能力を持っていたと考えられている。
そのため、圧倒的な能力の差によって彼らの狩猟の場を奪い取り、他の種族を駆逐していったと考える研究者も出始めた。
 
 
もちろん直接的に攻撃しあった場面もあったと考えられるが、狩猟場を奪われた他の種族はより辺境の地へ追いやられ、絶滅していったと考えられるという。
また、交配が可能な近縁種の場合は、交雑によって遺伝的に純血種が滅んだとも考えられている。
 
その結果、現在のホモ属(ヒト属)は、我々、ホモ・サピエンス・サピエンスしか残らなかったのだ。
 
 

ヒトの進化のミッシングリンク

 
ヒトの進化の過程はミッシングリンクがあると言われていた。
 
ミッシングリンクとは、「本来つながりがあると考えられるものの、その途中にあるべきものが見つからないその途中のもの」のことだが、ヒトの進化を考える場合は、サルから猿人、原人とつながり、現世人類へと進化していく過程において具体的な化石などの物証が発見されないことを言う。
 
かつては、ヒトの進化の過程を知る化石などの物証はきわめて少なかった。
そのため、ミッシングリンクがあると言わヒトの進化には謎が多かったのだが、1992年にアルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)が発見され、その後もアルディピテクス・カダバ、オロリン、サヘラントロプスが発見され、ヒトの進化が見えてきた。
また、遺伝子による研究も進んだことで、進化の歴史がよりはっきりと見えてきた。
 
とは言え、ヒトの進化について分かってきたのはまだまだ 20年ほどなのだ。
 
まだまだ分からない点も多く、今後も驚くような発見が出るかもしれない。
これまでの定説を覆し、謎だったことを露わにする発見があるかもしれない。
 
これからも多くの仮説と検証により、ヒトの進化のなぞが解明されることになるだろう。
 
 

ホモ属(ヒト属)の様々な種

 

サヘラントロプス(Sahelanthropus)

サヘラントロプスは、600万年~700万年くらい前に生息していた霊長類の 1種。
ただ、ヒトの祖先なのか、まだヒトの祖先とは言えるほど分化する前だったのかはまだ明確に解明されていない。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_05
 http://www.expo2005.or.jp/jp/N0/N2/N2.6/N2.6.69/ より
サヘラントロプス・チャデンシス(Sahelanthropus tchadensis)に属する「トゥーマイ」と名付けられた化石の復元像。
 
 

アルディピテクス(Ardipithecus)

ラミドゥス猿人(ラミダス猿人)は、アルディピテクス属に属する原始的な猿人の一種で、440万年~580万年前のエチオピアに生息していた。
長らく最古の人類とされてきたアウストラロピテクス属より古い時代の猿人であり、哺乳綱-霊長目-ヒト科-ヒト亜科に分類され、「アルディピテクス・ラミドゥス」と「アルディピテクス・カダッパ」の 2種からなる。
また、アルディと名付けられた 440万年前にいたラミダス猿人の化石は、全身の骨格が残っており、その分析から従来の定説を大きく覆す大発見となった。
従来から考えられていたより古くから直立二足歩行をしていたことが分かったが、足の親指はチンパンジーなどと同じように、他の指と対向的に付いており、ものをつかむことが出来ることが分かった。
 
 

アウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)

アウストラロピテクス(Australopithecus)属に属する猿人であり、アファール猿人トモ呼ばれる。390万年~290万年前に存在し、アウストラロピテクス属とホモ属(ヒト属)の共通の祖先で、現世人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)にも直接つながっていると考えられている。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_06
  http://4travel.jp/travelogue/10768829 より
  展覧会名:特別展「グレートジャーニー 人類の旅~この星に、生き残るための物語」
  開催会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
  開催期間:2013年3月16日(土)~6月9日(日)
 
この特別展は、岡村隆史が学術モデルとなったことでも話題になったものであるが、タンザニアのラエトリ遺跡にあるヒトの祖先の二足歩行の足跡の化石を残したのもこの種であると考えられている。
エチオピア北東部のハダール村付近で発見されたルーシーと呼ばれる化石人骨もまたこの種である。
 
 

ネアンデルタール人

20万年~2万数千年前に存在していたホモ属の一種。ホモ・ネアンデルターレンシス(Homo neanderthalensis)。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_07
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0810/feature02/ より
 
ネアンデルタール人の脳容量は、現世人類より 1割ほど大きく、骨などとともに出土した石器や加工された装飾品は高度な加工がされており、現世人類と大差ないほどの知能があったと考えられれている。
また、現世人類とも同時期に同じ地域に居住していたと考えられているが、なぜ、ネアンデルタール人だけが絶滅したのかは明確な答えを導き出せていない。
 
また、シベリアのアルタイ地方で発見されたデニソワ人は、ネアンデルタール人の兄弟種である可能性が高いと言われている。
 

ネアンデルタール人が絶滅した理由として、「ヒトが絶滅させた」とする研究者もいる。
 
 

デニソワ人

4万1000年前にロシアのアルタイ地方にあるデニソワ洞窟に住んでいた、ネアンデルタール人の兄弟種(とされる)。
まだまだ見つかっている化石などの物証が少ないため、まだまだ不明な点が多いが、ネアンデルタール人と現世人類と3種が共存していたと考えられている。
 
 人類3種が数万年も共存、デニソワ人研究で判明
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/
 
 

フローレス人

インドネシアのフローレス島で発見された、ホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)。
フローレス島に 1万2000年前まで生息していた小型のホモ属の種で、これまで発見された首都は別の種(新種)である可能性があるとされる。
 
身長は 1mほどで、これは、孤立した島でしばしば見られる矮小化(島嶼化と呼ばれる小型化)した。矮小化したことに比例して脳も小さいが、火を使った形跡や精巧な石器からかなりの知能があったと考えられている。
また、フローレス島には 5万5000年~3万5000年前頃には現世人進出してきたと考えられており、同じ地域に共存していた可能性が高い。
 
ネアンデルタール人、北京原人はヒトの祖先ではない?数多くのホモ属の種_08
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130529/352350/ より
 
 

ホモ・サピエンス・イダルトゥ(Homo sapiens idaltu)

現世人類であるホモ・サピエンス・サピエンスの直接の祖先であると考えられている種である。
エチオピアのアファール低地にあるアワッシュ川中流域で頭蓋骨が出土し、放射年代測定により 16万年前に生息していたと決定された。
 
 

ホモ・サピエンス・サピエンス(Homo sapiens sapiens)

ホモ属(ヒト属)に属する唯一の現存種である。
「Homo sapiens」はラテン語で「賢い人間」を意味する。
「ホモ・サピエンス」には、ネアンデルタール人などのすでに絶滅した多くの旧人類もこれに含まれ、現世人類の直系の祖先とされる「ホモ・サピエンス・イダルトゥ」と区別する場合などには、現世人類を「ホモ・サピエンス・サピエンス」と呼ぶ。
 
 第5回 ヒトの進化はアフリカ限定だった!
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120306/301473

 - 進化論・遺伝学・利己的遺伝子論の基礎