クジラ、シャチ、イルカは同じクジラ目の生物。大きさによって呼び方が異なる

クジラ、シャチ、イルカは同じクジラ目の生物。大きさによって呼び方が異なる 生物雑学

「クジラ」「シャチ」「イルカ」は「クジラ目」の生物

 
「シャチ」も「クジラ」も「イルカ」も生物学上は同じ「クジラ目」に属する生物だ。
 
その「クジラ目」は「ハクジラ亜目」と「ヒゲクジラ亜目」に分けられる。
 
クジラ目のヒゲクジラ亜目のシロナガスクジラ
【シロナガスクジラ】
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/tv/18/042600103/
 
「ヒゲクジラ亜目」には「シロナガスクジラ」「セミクジラ」などの「歯」ではなく「ひげ板」を持つ種類のクジラである。
 
 
対して、「ハクジラ亜目」はその名の通り「歯」を持つクジラの種類だ。
 
この「ハクジラ亜目」のなかに「マッコウクジラ」や「シャチ」「イルカ」が含まれる。
 
 
※最新の分類では、「鯨目(ゲイ目/クジラ目)」は「偶蹄目(または鯨偶蹄目)」の下位分類の「鯨類(げいるい)」となっている。
 
 

「ハクジラ亜目」のクジラ、シャチ、イルカは何が違うのか

 
「ハクジラ亜目」のなかに「マッコウクジラ」や「シャチ」「イルカ」が含まれる。
では何が違うのか。
 
クジラ目のハクジラ亜目のマッコウクジラ
【マッコウクジラ】
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/041901142/?P=4
 
クジラ目のハクジラ亜目のハンドウイルカ
【ハンドウイルカ】
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8231/
 
同じ「ハクジラ亜目」に含まれるため、生物学的な特徴はよく似ている。
似ているが、種類が多いので、大きさで分類することにしたのだろう。
 
成体(大人になった個体)で、4mを超えるものを「クジラ」、4mを超えないものを「イルカ」と呼ぶように分類されている。
(ただし、この条件は厳密ではないため、「シロイルカ」は「イルカ」と呼ばれるが 4mを超えている。など。)
 
 

「シャチ」は「シャチ」である

 
では「シャチ」は?
 
クジラ目のハクジラ亜目のマイルカ科のシャチ
【シャチ】
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/030500099/?P=2
 
「シャチ」は「マイルカ科」に分類されるが、「マイルカ科」の中では最大の種で、オスの平均体長は 6~8メートル前後で、大きいものでは 10メートル近くにまでなるものもいる。
 
そのため、「マイルカ科」最大の種と言われることもあるが、大きさによって「クジラ」と「イルカ」を分ける分類から外れるため、「シャチ」は「シャチ」と言われることもある。
 
また、「シャチ」は特徴的な見た目や、知能の高さ、凶暴さなどから海の王者と呼ばれ、大海の食物連鎖の頂点に立つ種であることなどからも「シャチ」と別枠で呼ばれることが多い。
 
 

「ワシ」と「タカ」も「タカ目タカ科」に属し大きさで分類されている

 
「クジラ」と「イルカ」と同じ様に、「ワシ」と「タカ」も同じ「タカ目タカ科」に属しており、生物学上は同じ種類の生物で、大きさで分類されている。
 
タカ目タカ科のオオワシとオオタカ
【左:オオワシ、右:オオタカ】
 
オオワシ、オジロワシ、イヌワシ、ハクトウワシなどの比較的大きいものを「ワシ」と呼び、オオタカ、ハイタカ、クマタカなど中小型のものを「タカ」と呼んでいる。
 
タカ目タカ科のカンムリワシ
【カンムリワシ】
(画像:https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1215760_1501.html
 
しかし「クジラ」と「イルカ」ほどには明確に区別されておらず、昔からの慣習のようなものであるため、「クマタカ」のように大きい「タカ」がいたり、「カンムリワシ」のように小さい「ワシ」もいるため、なかなかの混乱ぶりである。
 
 

大きい「カンガルー」、小さい「ワラビー」、中間は「ワラルー」

 
カンガルーは「双前歯目・カンガルー型亜目・カンガルー科」に属する種であり、現在 50種ほどいるらしい。
 
 
双前歯目・カンガルー型亜目・カンガルー科の赤カンガルーとオグロワラビー
【左:赤カンガルー、右:オグロワラビー】
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/web/14/1256/
(画像:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/030300152/
 
 
このうち、大型のものを「カンガルー」、小型のものを「ワラビー」と名付けられているものが多い。
また、中間的な大きさの種を「ワラルー」と名付けられている。
 
ワラビーは 30種ほどあり、ワラルーは 3種。
 
 

「フクロウ」と「ミミズク」

 
「フクロウ」と「ミミズク」は大きさによる分類ではないが、「ミミ」があるかないか、で呼び方が変わる。
 
 
フクロウ目フクロウ科のフクロウとミミズク
【左:フクロウ、右:ミミズク】
 
フクロウもミミズクも「フクロウ目フクロウ科」の鳥だ。
そして、「ミミ」がある方が「ミミズク」で、ない方が「フクロウ」だ。
 
そもそも古い言葉で「○○ズク」は「フクロウ」を意味しており、「ミミ」がある「ズク(フクロウ)」だから「ミミズク」と名付けられた。
 
もちろん、他の分類と同じように、耳があるのに「○○フクロウ」、耳がないのに「○○ズク」と名前が付いている種もあり、生物の名前の付け方、分類は一筋縄ではいかないようだ。
 
 

大きさによって名前を付けるという方法に無理があるのかもしれない

 
これまで生物の種の分類は、見た目の大きさや特徴を中心に行われたきた。
そして、その分類に沿って名前が付けられてきた。
 
しかし、発見当初は確認できる個体数が少ないために種全体の大きさを代表していない場合もある。
 
また、遺伝子解析が普及するにしたがって、見た目が似ていても全く違う種の生物であることや、違うグループと思われていた生物同士が実は近縁種であると分かることが増えてきている。
見た目の特徴や大きさで種を分類するという方法には無理があるのかもしれない。
 
そのため、今後は、「イルカ」と思っていたのに「ハクジラ亜目」ですらないの?みたいなことがあるかもしれない。

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